プレシャス二日町(仙台協立第10ビル)ネクステージイタリアーナ株式会社 代表取締役 三橋亨さん

繁華街の喧騒を抜け、北四番町へ。「プレシャス二日町(仙台協立第10ビル)」は、かけがえのない”ファーストプレイス”。自分だけの居心地のいい場所で、癒しのひとときを過ごせる居住空間です。
1階に店舗を構えるのは「Pizzeria e Osteria Padrino(ピッツェリア エ オステリア パドリーノ)」。2021年のオープンから、ランチタイム、ディナータイムともに絶えずお客様で賑わいます。
ネクステージイタリアーナ株式会社 代表取締役 三橋亨さん(以下、三橋社長)は、本場イタリアのナポリピッツァ協会で認定を受けた、国内でも希少なピッツァイオーロ(職人)です。美味しいお料理をいただきながら、ピッツァイオーロを志したきっかけや、店舗オープンまでの経緯を伺いました。
本場イタリアを思わせる内装と、料理に舌鼓

一歩店内へ足を踏み入れると、軽快な音楽と鮮やかなインテリアがお出迎え。旅先に来たかのような雰囲気に心が躍ります。
北イタリアのお店をモチーフに、洞窟をイメージして作られた石造りの壁は、内装を手がけた職人さんがひとつひとつ岩の造形をモルタルで再現しているのだそう。

メニューは、ナポリピッツァをメインにパスタやステーキ、三陸の海の幸を使ったイタリアの郷土料理など豊富なラインナップ。ぐるりと店内を見渡すと、ご家族やグループで賑やかに大きなテーブルを囲み様々なお料理を注文されている方も多いようです。

一口サイズの前菜がちょっとずつ盛り合わせになったプレートは、スタッフさんからの料理紹介も至福のひと時。ピッツァやパスタがこの後に控えていても、ついついお酒の手も止まらなくなってしまう美味しさ。

ナポリピッツァといえば「マルゲリータ」。シンプルだからこそ美味しさがわかり、人気のメニューなのだそう。
三橋社長は「真のナポリピッツァ協会 (通称:AVPN)」と、「日本ナポリピッツァ職人協会 (通称:A.P.N)」の2協会の厳しい審査を通過した、日本でも希少なピッツァイオーロ。古くから伝わる伝統技術を用いた正統派ピッツァは必食です。

「カンピオーネ」は、ナポリピッツァの伝統を守りながら、新たな可能性を追求する場として、日本全国のピッツァイオーロが腕を競う大会「チンクエチェントカップ」で2018年に優勝したピッツァ。パスタソースをベースに、5種類のトマトを使った深みがありながらも爽やかに食べられる一枚。

口元を真っ黒にしながら食べる「“シェフのスペシャリテ”パレルモ名物 イカ墨のスパゲッティ」。美味しさに溢れた笑みに、”みんな口真っ黒”と笑いあう時間も楽しいですよ。

店内の雰囲気や、スタッフの皆さんの素晴らしい接客も相まってお料理の美味しさが増していくような時間を過ごすことができます。日常遣いにはもちろん、お祝い事や記念日での利用にもオススメです。
海の上で決まった”再スタート”
三橋社長がピッツァイオーロを志したきっかけや、店舗オープンに至った経緯を氏家社長と対談形式で伺います。
ー 三橋社長がピッツァイオーロを目指したきっかけをお伺いできますか?私は元々、町場のイタリアンでずっとコックをしていました。「本当に人生をかけてやれる仕事はないだろうか」とくすぶっていた時に、東日本大震災を経験したのがきっかけです。震災を機に、すべての価値観が大きく変わり、今後この人生を何を懸けて生きていこうかと考えたとき「イタリアン」は軸として残っていたのですが「ナポリピッツァ」に強く惹かれました。

ナポリピッツァの作り方は、とてもシンプルで原始的です。材料は、小麦、水、酵母、塩の4つのみで、薪窯で焼き上げる。そこにロマンを感じました。酵母を使うので生地は生きていて、そのひとつひとつに向き合い続ける”終わりがない”世界に没頭する人生こそ、職人だなと。
震災当時、電気やガスが使えなくてもピッツァの窯だけは使うことができました。実際に、石巻市で1年間薪窯を設置し毎月全国からボランティアで職人がピッツァを焼きに来るという取り組みも行いました。その当時使っていた薪窯が、今このお店のシンボルになっています。

正直、薪窯やお店を作る際に新しく買った方がコストを抑えることができたのですが、当時全国から集まってくれた職人の想いを新店舗に引き継ぐことにしました。
ー (氏家)新店舗立ち上げまでは、どのような経緯がありましたか。パドリーノの前身は、「PIZZERIA PADRINO DEL SHOZAN」です。コロナの影響で勝山館は閉館となりましたが、当時の社長はイタリア愛が強く、ピッツァリアのカジュアルでハッピーな雰囲気をとても好いていたと記憶しています。ずっと育んできた場所がなくなることへの寂しさや、もう一度復活させたいという思いも伺っていました。
私も志なかばだったため、「またいつか」という気持ちはありながらも、まずは休養期間をとりながら、これからのことを考えようと思っていた頃に「もう一度みんなでやるぞ」と新たな会社を立ち上げました。

ー (氏家)どなたからか声がけや依頼があってのことですか?いいえ、この話が浮上したのは、七ヶ浜の海の上です。今、一緒に働いているメンバーもサーフィンが共通の趣味で、波待ちでぷかぷかと浮いている時に話がまとまったんです。昼間の気持ちいい天気の中でした。
海の上で「やろう!」と決まってからは早かったですよ。(笑)
サーフィンを終えた夕方には物件を探し始めて、その日のうちに物件の候補が決まりました。それが、このプレシャス二日町です。これまでは「やりたい」「いつかやろう」という気持ちベースの会話でしたが、突然スピードを持って具体的に動き出しました。
ー(氏家)サーフィン仲間ですか、かっこいいですね。プレシャス二日町は、どちらかというと中心部から離れています。物件としての決め手はどのような部分でしたか?
物件選びの際にポイントにしていたのは、外からでもイタリアの感じを印象つけられる”横に広い物件”です。まさにイメージ通り! プレシャス二日町の外壁の感じも、内装のイメージとマッチしました。中心部から離れているという部分については、この場所なら勝山館に通っていただいていた常連のお客様も通いやすいだろうという点や、中心部に寄るにつれてお客様の層が入り混じってしまうため、目的客をしっかり集客できるという点で私たちにとっては立地条件も叶えられる物件です。

ー(氏家)そのように見てくださっていたんですね。私たち不動産の視点で見ると、プレシャス二日町のような物件は、1階を駐車場やエントランスにして戸数を増やした方が、お金の面では利益が出るのですが、それではどうにも町の雰囲気が暗くなってしまうと考えていました。飲食店に限定していたわけではありませんが、お店や病院など、人が寄れる場所が欲しいなと思い、このような設計にしたんです。上の入居者の方とお店の関係性はもちろん、町全体と繋がっていく場所になれたらと願っていました。
私たちも、オープンから4年が経ち一応軌道に乗ってきたかなと思っています。この周辺をちょっと盛り上げられているのではないかなと。氏家社長の願い通りになっていたら嬉しいです。
ー(氏家)4年も経ちましたか。オープン当初、内装の作り込みにびっくりしたんですよ。仙台協立の物件にご入居いただいているお店の中でも、ここまで内装の造形に手をかけているお店は初めてでしたから。とても大変な工事だったはずです。その分、気合を感じました。パドリーノさんの賑わいも影響してか、近隣に店舗も増え、ご退去されたテナント物件にすぐ次のお店が決まる様子も伺えるので、ちょっといい感じになっているのかなと僕は嬉しく思っています。お店として、この4年間で変化やこれから挑戦したいことなどはありますか?
会社としての変化は、正社員が一人増え、若手の「ピッツァをやりたい」というメンバーが増えました。私は大会を引退し、運営に回る立場となりましたのでビシバシ指導をしてどんどん大会に挑戦してもらいたいと思っています。目標としては、僕自身もピッツァ業界ではまだまだ若手の立場ではありますが、協会のくくりに縛られずピッツァを一般の人に広める取り組みをしたいと思っています。
ナポリピッツァがどのようなものかをわかってもらった上でお客様に食べてもらう機会を作ったり、仙台市内のピッツァを提供しているお店同士でイベントができたらいいなと思っています。それが勾当台公園や、西公園などの公園でできたらと、他のお店の人たちと情報交換していても話題に上がるのでいつか実現してみたいですね。
ー(氏家)公園ですか! 公共空間を利用しての取り組みは素敵ですね。ピッツァを提供することは屋外でも可能なんですね。ナポリピッツァは、水分が大敵なので天候との兼ね合いは重要です。ですが、私も出場していた世界選手権などには屋外に薪窯を並べ、天候や窯の状態も直前までわからない状態で実施される大会もあるんです。「どのような状況でもナポリピッツァを焼ける技量を試される」というのでしょうか。イベントとして、天気の良い中でいろんなピッツァイオーロの本格焼き立てピッツァが食べられたら。
ー(氏家)実現にあたってのハードルはどのような部分にありますか?一番は、設備がないという部分です。夢・理想を語るのであれば、西公園のような場所に常設の薪窯があって、お花見の季節には職人が日替わりでピッツァを焼いている。そんな光景は町として面白いと思うんです。
その段階に行くには、まだそれぞれの事業者が小さく、日本でのピッツァイオーロの地位が確立しきっていないと思っています。
日本では「ピザといえば宅配ピザ」という文化がありますが、イタリアでは料理人とピッツァ職人は完全に別の業界なんです。ピッツァ職人はピッツァしか作らないんです。それくらい、日本や仙台でピッツァイオーロの地位の確立が必要だと思っています。
ー(氏家)非日常が日常になっている世界、そのような町に住むと、きっと毎日が面白いですよね。そんな日々が続くと、豊かな町になっていくし、その周辺に住みたいという人が増えていく。まちづくりとしても、そのような光景はぜひみてみたいですね。
店舗情報
PIZZERIA e OSTERIA PADRINO
住所:仙台市青葉区二日町17−31 プレシャス 1階
電話番号:022-290-1138
営業時間:
月・木・金曜日
Lunch 11:30~14:30(ラストオーダー14:00)
Dinner 17:30~22:00(ラストオーダー20:30)土・日曜日
Lunch 11:30~15:00(ラストオーダー14:30)
Dinner 17:30~22:00(ラストオーダー20:30)